
新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株は、これまでに流行したウイルスと比べて、感染しても重症化リスクが低いとされている。その説得力のある説明となり得る、動物を用いた研究の結果がこのほど報告された。オミクロン株は感染しても肺まで到達しにくく、鼻や喉、気管にとどまる場合が多いことが示されたという。
新型コロナウイルスが気道に感染する機序について検討した研究グループの一人で、ベルリン健康研究所(ドイツ)の計算生物学者のRoland Eils氏は、The New York Times紙の取材に対して、「主に上気道に影響を及ぼす新たな疾患が広がりつつあると考えた方が良いだろう」と話している。
この1カ月間に数多くの研究グループが、動物実験を実施してオミクロン株について検討している。そのうちの6件以上の研究で、オミクロン株に感染した動物は、デルタ株などの他の変異株に感染した場合と比べて軽症で済むことが示された。また、これまでに流行した変異株は、ヒトの肺を損傷し呼吸困難をもたらしたが、オミクロン株の場合は感染しても症状がより軽いことが、マウスやハムスターを用いた複数の研究で示されている。