祖父母からのお年玉くれすぎ問題
その時、親はどう動いたか
他には「お年玉くれすぎ問題」というのもある。
これはよく祖父母からのお年玉で発生する。じいじとばあばなる存在は、孫に愛情を与えることのできる機会を常にうかがっていて、隙あらば多大なる愛を注いでくれようとする。親としては、ありがたい限りである。
しかし、祖父母から渡されるお年玉の額がいくらか多くて、親の教育方針にそぐわないケースがある。お年玉の行方を親がコントロールしている世帯では問題にならないが、「お年玉は子どもが自由に使っていい」と決めている世帯では、祖父母からのお年玉は子どもを堕落させうる“邪悪なカネ”である。
祖父母に「高額をあげないで」と相談しておくのもひとつの手だが、祖父母にとっては与えることが喜びなので、「その機会を取り上げるのもしのびない」という考え方もある。「お年玉の減額をお願いされ聞き入れた祖父母が、その年のクリスマスに爆発して大量のプレゼントをくれた」といった話もあるので、いくら子の教育方針の実権を主に握る親とはいえ、祖父母への締め付けすぎもよろしくなさそうである。
そこで、祖父母と事前協議の上、納得のいくラインが見いだせれば幸いである。あるいは子どもに「じいじ、ばあばはくれすぎだから、そのうちのいくらかだけをあなたに渡します」と説明するのでもいいであろう。野球になぞらえるなら、「三振に抑える」か「打たせて捕る」かの違いである。
ネット登場以前、お年玉の相場感は個人の主観か民間伝承によって受け継がれてきていた。しかし今は、ネットで誰もが見られる場所に「これが相場」と示されているので、多くの人がそれを参考にすることで今後はその相場観が補強され、やがて完全なスタンダードとして確立するであろう。
モヤモヤがつきまといがちなお年玉であるが、モヤを晴らしてあげるお年玉は「あげることに」に全集中できるので、格別に誇らしく感じられるはずである。トラブルを避け、すこやかなるお年玉イベントを過ごすためには、無警戒でいるのではなく、ある程度の準備が必要である――と思われた。