お金について学ぶ機会がほとんどない日本の教育。しかし、将来子どもたちが幸せになるためには、お金を学び、お金に強くなって「お金に振り回されない生き方」をすることが大切だ。ニューヨークのユダヤ人コミュニティの中で育った酒井レオ氏は、自身がバンク・オブ・アメリカで史上最年少・全米ナンバーワンの営業成績をおさめられた理由を「子どもの頃のお金にまつわる教育にある」と語る。そんな酒井氏の最新刊『世界最新メソッドでお金に強い子どもに育てる方法』から一部を抜粋して、今回は酒井氏の考える「お金に強い子どもを育てる」メソッドを紹介する。
お小遣いは絶対にあげない
日本で売れている子育て本を手に取ると、かなりの確率で「小学生になったらお小遣いをあげる? あげない?」というテーマを目にします。
この問いに対する僕の答えは、「お小遣いは絶対あげない」です。
僕自身、お小遣いはもらっていませんでした。同級生にたくさんいたユダヤの裕福な家庭の子どもたちも、お小遣いはもらっていませんでした。経済的にゆとりのある家庭ほどお小遣いをあげていない、というのが昔から変わらない僕の印象です。
言わずもがなですが、お金は労働の対価です。何の労働も提供していないのに、毎月、決まった額のお金が手に入ることなどあり得ません。少なくとも、僕の父が渡米してから多くを学んだ、ユダヤの家庭に受け継がれている“帝王学”では、この考え方は当たり前すぎるほど当たり前。
お小遣いを管理することで、お金との付き合い方が身につくというのがお小遣いをあげる派の言い分ですが、お金の本質を知らないまま付き合い方だけ学んでも、将来、お金を生み出す子どもにはなれません。おそらく、お小遣いは毎月決まった額がもらえるお給料の縮小版なのでしょう。
そうであるならば、まずは親の側が、これからの時代の多様な働き方について、考えを改めなければなりません。自分の子どもの将来は、定額のサラリーをもらう会社員ですか? これからの時代は、”好き”を仕事につなげていく人が増え、スペシャリストとして個人で働く人や起業家が増えてくるでしょう。そんな時代に、お金の使い方しか学ばないことは、リスクでしかありません。