日本発の素材メーカーが躍進
「マプカ」が世界でヒット

環境経営総合研究所の松下敬通社長環境経営総合研究所の松下敬通社長

 近年、プラスチックごみの増加が世界的な問題になっている。中でも、海に捨てられたペットボトルやポリ袋、海水にとけ込んだ微小なプラスチックなどは、生物や人間の健康に悪影響を与えることが懸念されている。

 そんな状況を打破すべく、プラスチックを代替する新素材の研究開発に力を入れているのが、1998年創業の素材メーカー・環境経営総合研究所だ。

 同社製品のうち特に注目度が高い素材は、その名を「MAPKA(以下、マプカ)」という。

 廃棄紙や損紙から作った紙パウダーを主要材料(51%)として合成樹脂を混ぜた素材で、焼却しても有毒ガスを発生させず、プラスチックに比べて二酸化炭素排出量を約35%削減できる。

 それまで紙と合成樹脂を混ぜることは困難とされていたが、同社は紙を25~30ミクロンまで連続で砕いてパウダー化し、合成樹脂と均一に混成する技術を世界で初めて開発したのだ。

 しかも、従来のプラスチック成形機と金型を使って射出・押出成形などの加工が可能で、食品容器やコップ、トレー、箸、ブラシ、ボルト・ナットなどにも使われている。

 マプカは米ミシガン州の工場で生産し、国内大手総合商社と組んで販売中だ。世界40カ国以上で国際特許も取得済みで、欧州連合(EU)でもフランス、ドイツ、ベルギー、スイス、オランダの会社と契約を結んで販売している。