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若い世代だけでなく中高年にも、「自己肯定感が低い自分は、ダメ人間なのではないか」「どうしたらもっと自己肯定感を高められるのだろう」と悩む人が少なくないようだ。そんな悩める人たちを本当に救おうとしているのか、あるいはカモにしようとしているのか、自己肯定感を高めるためのコツを伝授する本がちまたに出回っている。でも、数十年にも及ぶ長い人生経験を通して培われてきた自己肯定感が、そんなに急に変わるものではない。すぐに高まるようなものなら、またすぐに崩れてしまいかねない。では、どうしたらよいのだろうか。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

日本では成功者でさえ自己肯定感は高くない

 自己肯定感の低さに悩む人は、どうしたらいいのだろうか。ここで目を向けたいのが、世間で活躍している人たちでさえ、自己肯定感が明らかに高いわけではない、ということだ。

 自己肯定感の低さに悩む人たちは、「(何らかの点で)うまくいっている人は自己肯定感が高いもの」と思い込んでいる。仕事でも人間関係でも、うまくこなしている周囲の人たちはみんな自己肯定感が高いのだと思い、極端な場合は、「こんなに自己肯定感が低いのは自分だけだ」と落ち込む。しかし、それは大きな勘違いだ。