2021年の倒産件数の対前年減少率
(負債総額1000万円以上)

2021年の倒産件数の対前年減少率(負債総額1000万円以上)出所:東京商工リサーチ

 昨年の倒産件数は6030件で、過去50年で最低となった。これは給付金や実質無利子・無担保融資などの企業金融支援策によるところが大きい。ここ30年の倒産件数の推移を見ると、2000年初をピークに、ほぼゼロ金利が続く中、10年代半ばまでに半分以下となり、その後下げ止まっていたが、新型コロナウイルス感染症が拡大した20年には前年比7.3%減り、21年には20年から22.4%も減った。

 実質無利子・無担保であれば企業は借りておこうとし、金融機関側も信用リスクを政府が負担してくれるので、資金需要に積極的に応じられる。政府・日本銀行の迅速な対応は評価するが、倒産の大幅減少や貸出増などから、融資のインセンティブが強過ぎたといえる。この場合、信用力が低い企業ほど恩恵を受けるので、支援終了後に倒産増は顕著となろう。他方、まだ資金繰りが厳しい中小企業もある中、資金繰り支援が続く可能性もある。そうなれば顕著な倒産増は避けられるが、低成長企業が存続し続ける。それでは日本経済の低生産性からの脱却は困難だ。