みずほの再出発に、早くも黄信号がともった。相次いだシステム障害問題の幕引きとなるはずだった新経営陣のお披露目会見では、社外取締役への不信がメディアから噴出した。現状のガバナンス体制へ“NO”が突き付けられたかたちだ。みずほフィナンシャルグループ(FG)と銀行のトップ2人を引責辞任に追い込んでなお、メディアが納得しない理由とは何か? ――。信頼回復へ第一歩を踏み出すための処方箋を探る。(トラストワークス代表取締役 風間 武)
「みずほの顔」の坂井社長
突然の降板という番狂わせ
「本日のご説明に先立ち、ご報告がございます」
1月17日に開いた記者会見の冒頭、みずほ銀行の藤原弘治頭取は厳しい表情でこう切り出した。
問題の陣頭指揮をとってきた坂井辰史FG社長が体調不良で、医師の指導により治療に専念せざるを得ないことを明かした。後任となる木原正裕執行役への交代が2月1日付へ2カ月早まった経緯を説明するためだった。
坂井社長は、これまで会見を取り仕切ってきたいわば“みずほの顔”だ。致し方ない事情とはいえ、“主役不在”のなんとも釈然としない会見がこうして始まった。