みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行の両トップが引責辞任する方針を表明した。しかし、トップをすげ替えれば問題が解決するわけではないことは、みずほ自身が証明している。そこで今回は、みずほの「空想上の指名委員会」に属する忖度なき社外取締役となり、みずほの体質を根本的に変えるための人事を読者とともに考えてみたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
金融庁、怒る!
みずほは「言われたことしかしない」
今年だけで8回に及ぶシステムトラブルを引き起こしたみずほ銀行と、その親会社であるみずほフィナンシャルグループ(FG)に検査に入っていた金融庁が、11月26日に行政処分を発表した。
この文書がホームページに載っているが、ガバナンス上の問題の「真因」として、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」を挙げていることが話題になっている。同行が起こした過去のシステム障害にも通底する問題だとも述べている。
「言われたことしかしない」組織にあって、「言うべきこと」が言われないのだから、「やるべきことが、できていなかった」のだろうというロジックには大いに納得できる。ただ、官庁が対外的に発表する文章で、これだけ生の感情が表れた印象のものは珍しい。金融庁の本件の関係者は、人間として本気で怒ったのだろう。この表現は、文書の結論部分でも繰り返されている。
インターネット界隈だけでなく、新聞などのオールドジャーナリズムでも大いに話題になった。金融庁が「霞が関文学」から意識的に離脱しようとしているのか、現場の職員の官僚的作文能力が劣化したのか、いずれなのかは分からないが、これは相当に珍しい文章だ。