みずほPhoto by Mieko Arai

みずほフィナンシャルグループが、坂井辰史社長の後任として木原正裕執行役を昇格させるとともに、今年6月で退任する佐藤康博会長の後任に今井誠司副社長を充てる方針を固めた。それに伴い、みずほ人事の焦点は、首脳陣の脇を固める人材の行方に移行している。新体制のキーマンになり得る平成入行組の4人衆とは誰か。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、田上貴大)

みずほが次期社長人事を固める
社長のバトンは結局、興銀出身者の手へ

 昨年9回のシステム障害を起こし、混乱に陥っているみずほフィナンシャルグループ(FG)が、最優先課題だった首脳人事に答えを出した。昨年11月に引責辞任を表明した坂井辰史社長の後任として木原正裕執行役を昇格させるとともに、今年6月で退任する佐藤康博会長の後任に今井誠司副社長を充てる方針を固めたのだ。

 金融庁に対し、システム障害の再発防止策などを盛り込んだ業務改善計画を提出する1月17日に、取締役会で決議する。木原氏は1989(平成元)年に旧日本興業銀行に入行しており、正式決定すれば3メガバンク初の平成入行トップとなる。

 木原氏は銀行や証券、FGでリスク管理や企画、財務などの管理畑を長く歩んできた人物だ。若手時代は米国のロースクールにも留学。足元ではM&A(企業の合併・買収)や国内外の決済業務などを担うグローバルプロダクツユニット長を務める。ちなみに、岸田内閣を支える木原誠二官房副長官は実弟だ。

 ただし、幅広い経験は持つものの、営業現場に明るいわけではない。みずほの次期トップに求められる“第一条件”は「現場重視」となっていたはずなのに、だ。

「顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視」「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」――。昨年11月、相次いだ一連のシステム障害を受け、金融庁がみずほに下した業務改善命令には、そうした屈辱的な文言がちりばめられていた。

 だからこそ次期トップは現場重視を明確にするため、リテール(個人・中小企業)ビジネスという土台を据え、現場に聡い旧富士銀行や旧第一勧業銀行の出身者が有力視されていた。

 ところが、ふたを開けてみれば社長に就くのは旧興銀出身の木原氏である。「結局のところ、木原氏以外の候補者に決め手がなかったということなのだろう」。みずほ内部からはそうした手厳しい声も上がるが、木原氏の起用には相応の理由もあるようだ。

 次ページでは、木原氏起用の背景の他、みずほ人事の「次の焦点」である木原体制の脇を固める人材候補について取り上げる。今後のみずほのキーマンとなりそうな、平成入行組の4人とはいったい誰か。