南部ジョージア州では、郵便投票申請書が自動的に有権者に配布される制度が廃止、写真付き公的身分証(ID)の提示が義務化された。IDを所持していない黒人やマイノリティーの民主党支持者を投票が排除する狙いだ。

 テキサス州では車の中からでも投票できる「ドライブスルー」投票も禁止されている。

 新型コロナ大流行で多くの州で郵便投票などでの投票がしやすくなるように規則が変更された。それが民主党に追い風となりトランプ敗北につながったと共和党はみているのだ。

 対抗する民主党のバイデン大統領も、もちろん黙ってはいない。「投票権は民主主義の出発点だ」として不公平な投票抑圧を厳しく批判している。

 しかしバイデン政権の弱みは、共和党の企てを阻止する決定的な手段を持っていないことだ。

 司法省は複数の州を提訴したが、大統領在任中にトランプが選任した3人を含む保守派の判事が多数を占める最高裁で却下される可能性が高い。

 それならと、民主党は連邦議会で州政府の動きを封じる包括的な投票権法案を提出したが、こちらも上院での成立は絶望的だ。

 重要法反可決には最低60票が必要だが民主党の現有勢力は50議席。そのうえ身内の民主党議員2人が造反しているからだ。