北朝鮮に対して有効な制裁は中ロが協力しなければ実現しない。対北朝鮮制裁に協力しない国への対応も併せて検討していく以外ない。

北朝鮮の核ミサイル開発を
正当化する中国の狙い

 中国の劉暁明・朝鮮半島事務特別代表は20日、魯圭ドク(ノ・キュドク)韓国朝鮮半島平和交渉本部長との電話会談で、「北朝鮮に対する制裁と圧迫を通じて朝鮮半島問題を解決できないという事実が証明された」「米国は『制裁万能論』を諦めなければならない」と主張した。

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 さらに劉特別代表は「実質的な措置を通じて北朝鮮の正当で合理的な関心事項を解決すべきだ」「北朝鮮に対する安保脅威を除去して対話を再開する必要がある」と主張した。

 さらに中国外務省の趙立堅報道官は同日の定例会見で、北朝鮮による核実験とICBM発射検討について問われると「むやみに制裁と圧力を加えることで朝鮮半島の問題を解決できないという事実が繰り返し証明された。(制裁と圧力)は緊張局面をさらに激化させるだけで、各国の利益に合わない」と述べ、米国は誠意を持って実際の措置で北朝鮮に応答すべきだと強調した。

 しかし、中国の主張は北朝鮮の核ミサイル開発を正当化するものであり、国際社会として受け入れることはできない。中国は米国との覇権争いをしている中で、北朝鮮をカードとして利用しているものであり、中国に対する安全保障の問題の一環として北朝鮮をどう位置付けるか考えていかざるを得ないだろう。

 いずれにせよ北朝鮮は何をするかわからない国である。国際的なルールを無視する国である。そうした国との偶発的な衝突が思わぬ結果とならないよう、少なくとも中国には問題意識を共感させる必要がある。それが中国の協力を得るきっかけとなるかもしれない。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)