金正恩氏写真:朝鮮労働新聞HPより

ICBMや核実験再開も示唆
金正恩氏の立ち位置に変化

 新年に入り北朝鮮は立て続けに4回、計6発のミサイル発射実験を繰り返している。朝鮮中央通信によれば、19日には金正恩総書記らが参加した朝鮮労働党中央委員会政治局会議を開き、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核実験を再開する姿勢を示した。対米問題について、米朝関係の信頼構築のために暫定的に中止した全ての活動を再開する問題を迅速に検討することを決めたとしている。

 この背景には、どういう思惑があるのか。非核化や経済制裁解除をめぐる米国との交渉頓挫や経済の立て直しを迫られるなか、「自力更生、自給自足」路線への原点回帰をアピールし、国際社会に存在感を示そうとしているのか。

 あるいは国内向けに国民の意識高揚を狙ったものなのか。

 どちらも当てはまりそうだが、このところ見えてくるのは、父親の金正日総書記の後を継いで10年を迎えた金正恩総書記自身の立ち位置の微妙な変化だ。

GDPや貿易は大幅落ち込み
逆に「権威」は高まる

 2021年12月は金正日書記が死去し、金正恩氏が権力を継承して10年に当たった。正恩氏の治世10年を振り返ると、失政続きだったことがわかる。

 ところが、正恩氏の権威は逆にどんどん高まっている。なぜ、こんな不可思議な現象が起きるのか。