人は1日に23回逆境を経験する!?脳では何か起きているのか日常的な出来事や、仕事上の小さなミス、事件・事故、自然災害に至るまで、ありとあらゆる「予測していなかったこと」が逆境にあてはまる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍で生活様式が変わり、次々と起こる生活環境の変化にもかかわらず、自分を見失わずに生きていくには、自分で逆境と感じることから逃げずに、向き合う姿勢が必要です。しかし、これは簡単なようで、なかなか難しいのも事実。実際、逆境と向き合うといわれても……という人も少なくないでしょう。ご自身もさまざまな逆境を経験された医学博士の川崎康彦さんは、逆境に「脳科学」という観点からアプローチすることによって、誰もが直面する逆境への対処法を、新たな視点で捉え直しました。逆境に直面したとき、脳の中では一体何が起きているのか、どうすれば、前を向いて一歩踏み出すことができるのか――。そこで今回は川崎さんの新刊『ハーバードで学んだ 逆境の脳科学』(青春出版社)から、逆境において鍵を握る、脳の中の「逆境トライアングル」について抜粋紹介します。

脳は想定外のことを嫌がる

 まず、「逆境」とは何か定義しておきたいと思います。

 一番かんたんな定義としては「脳の予測がはずれること」。すなわち、脳が当たり前と思っていることと、現実とのギャップです。

 逆境指数を提唱したストルツ博士によれば、人は一日に平均23回の逆境を経験するそう。そんなに多いのか?と首をかしげるかもしれませんが、たとえば、こんな事象も逆境にあたるのです。