頭のいい人Photo:PIXTA

世界で通用する「頭のいい人」にはどんな共通点があるのか――。東大、フランス国立研究所、MENSAなどで世界のさまざまな「頭のいい人」を見てきた脳科学者の中野信子氏が、本当に賢い人たちが実践しているパフォーマンスを最大化するコツを紹介します。頭のいい人が「笑顔で主張する」理由とは?
※本稿は中野信子氏の著書『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』を抜粋・再編集したものです。

日本を代表する技術者は
一緒にいるのが楽しい人

 しばらく前に、NHKの『プロジェクトX』という番組が放送されていました。

 この番組は、戦後の日本で起きた様々な開発プロジェクトを取り上げています。成功までの苦難をどのように乗り越えていったのかをドラマチックに描いたことで、大変な人気を博しました。電気製品や自動車などの産業、ダムやトンネルといった土木事業など、題材は多岐にわたります。

 この『プロジェクトX』で特集を組まれた一人に、日本の某大手電気メーカーで役員をされていたKさんという人物がいます。世界に冠たる日本の科学技術を、Kさんは地道に発展させてきたのです。Kさんこそまさに20世紀の「技術大国・日本」を牽引してきた功労者といえるでしょう。

 Kさんは、技術畑での仕事をはじめ、アメリカやヨーロッパでの営業、現地法人の立ち上げなどの任務、そして最終的には本社の重要な役職までこなされました。現在は第一線を退かれ、有望な若手実業家を育てるという立場にいらっしゃいます。

 こんなKさんですから、経歴だけ見ると、何だかものすごいものがあります。最初に会うときはとても緊張してしまいました。「もしかしたら、怖い人なのかな……」と。

 でも、実際にお会いしてみると、本当に物腰が柔らかで、いつも笑顔の素敵な紳士なのです。若い人とカラオケに行くのも大好きなようです。

 何より、若い人と話をして、いろいろな知識を吸収するのを楽しむというように、好奇心にあふれているのです。機知に富んだ会話で年齢を感じさせず、一緒にいるとこっちまで楽しくなりました。