株式投資で資産を築き、入社4年目の26歳でFIREを果たした『投資をしながら自由に生きる』の著者が、最速で「お金と時間の自由」を得るための方法を伝授する。その方法は、一般的なFIREとは、まったく別の概念だ。FIRE達成者の多くは、いずれ何らかの仕事をするようになる。ひと通り自由を味わうと暇を持て余してしまい、社会とのつながりを得るためにも、結局は仕事をするようになるのだ。ならば、最初から時間と場所に縛られない自由度の高い仕事をしつつ、経済的自由を謳歌する方法を選択するべき。本当の自由を最速で得るたった1つの方法、それは「投資×小さな起業」だ。
STEP 3 会社を辞めてビジネスオーナーになる
【前回】からの続き。
株式投資でひと資産を築いた私は、入社4年にしてオープンドアを退社し、ビジネスオーナーになるべく、自分の会社を立ち上げました。
会社を設立したのは、26歳になったばかりのときでした。
もともとベンチャー企業に就職したときから、「将来的には自分で何かビジネスをやってみたい」という思いがあったのです。
このタイミングで起業した理由は2つありました。
1つは、やってみたいビジネスが見つかったこと。
もう1つは、会社を辞めても、しばらく食べていける資産を築けたこと。
余談ながら、会社を辞めて起業してからは、2ヵ月ほど「1日1000円生活」を続けました。
会社を辞めると、それまで当然のように毎月振り込まれていた給料が振り込まれなくなります。ふつうに生活するだけで、お金がどんどん減っていく状態になります。
一度経験してみないとイメージしにくいかもしれませんが、貯金が減る一方という状態は、想像以上に「ヤバイ!」と危機感が募ります(この「ヤバイ!」という危機感がビジネスの原動力にもなります)。
株式投資で築いた資産が十分にあったものの、「最初から投資で築いた資産を切り崩して生活していくのはちょっと違うな」と考えていました。
会社員を辞めたのはあくまで、労働者としてでなく、ビジネスオーナーとして人生を楽しみながら生活していけるようになるためであって、金融資産を食い潰すためではないからです。
そんな考えから、会社の事業による収益で生活費をカバーできるまでは、「1日1000円生活」をしようと決めたのです。
実際にやってみるとわかりますが、1日1000円で生活すると、ものすごく行動が制限されます。
当初はシェアハウスで生活しながら仕事をしていたので、その家賃は別にしていましたが、家賃を除いても1000円なんて1日の食費だけで使い切ります。
このとき、ひと月3万円のお小遣い制のお父さんたちの気持ちが、身をもってわかった気がしました。
当然、そんな生活からは、いち早く脱却したいと思っていました。そのため、とりあえずキャッシュフローを得ようと、会社員時代のスキルと人脈を活かして、毎月15万円の継続的な収益となる人事サポートの契約をとってきました。
自分自身の労働力を多少は使わなければならない労働集約型の契約ですが、とりあえずこれで1日1000円生活からは脱却することができます。
私がビジネスオーナーになるべく、会社を辞めてまで立ち上げた事業は、「写真プリントサービス」でした。
当時はガラケーからスマホにユーザーが移行し、多くの人が日常的にスマホで写真を撮るようになっていた頃です。
iPhone3GSは300万画素でしたが、翌2010年発売のiPhone4では500万画素、iPhone4Sでは800万画素と、モデルチェンジをするごとに画素数がどんどん増加していました。
そうした画素数の増加から、スマホで撮った写真を気軽にプリントできるサービスがあったらニーズが高いだろうと考えて、「写真プリントサービス」を立ち上げたのです。
スマホで撮った写真をメールに添付して送るだけで、プリントされた写真が自宅に届くウェブサービスです。
月額580円で毎月15枚までプリントすることができ、余った枚数の枠は翌月に繰り越し可能。オーバーした分は、1枚30円で追加プリントできる仕組みです。
いまでいうところのサブスクリプション(定額課金)で、一度お客さんが集まれば、継続的に収益を得られる「ストック型ビジネス」です。
熊本のオンライン写真印刷サービス「ネットプリントジャパン」(2019年に東京の「しまうまプリント」に経営統合)と業務提携をして、写真のプリントから発送までを全面委託しました。
私がやるべきことは、サービスの専用ホームページを立ち上げて、ユーザーから届いた写真データを委託先のネットプリントジャパンに送るシステムをつくるだけ。
少ない初期投資で、ビジネスをスタートすることができます。
システムを立ち上げてユーザーを集めさえすれば、ビジネスオーナーとして毎月自動的に収益を得られるビジネスモデルです。ほとんど何もしなくても、ユーザーを集めれば集めるほど、収益が増え続ける仕組みです。
このときから、すでに「自分が何もしなくても毎月お金が入る仕組み」の構築を目指していたのです。
自分が働いてお金を稼ぐ労働集約型のビジネスではなく、自分の労働力以外で収益を生み出す「ビジネスオーナー」になるという発想です。
資本金500万円を出資して会社を立ち上げ、写真プリントサービスの仕組みを半年ほどかけてつくり上げました。
会社員時代に新規事業を立ち上げた経験もあったので、収益シミュレーションなどの事業計画もバッチリ。先行投資があるので最初はマイナスからのスタートですが、半年後には毎月50万円、1年後には毎月100万円の利益を得られる計画でした。
サービス公開にあたってプレスリリースをつくり、各種メディアに告知。いよいよサービス公開となりました!