日本銀行の外観インフレの到来に対して日本銀行がどう対処するのかに注目が集まる Photo by Ryosuke Shimizu

日本にもインフレがやって来ている。心配なのは、日本銀行が金融政策を利上げに転じ、円高になることを望む声があることだ。円高に耐えて構造改革せよという「根性論的勘違い」ではないかと思うし、自殺行為だ。日本のインフレ対処にはもっと別にやるべきことがある。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

何十年かぶりにインフレ到来?
環境コストを払い始めている

 どうやら何十年かぶりにインフレがやって来るらしい。

 昨年12月末時点で、日本の消費者物価指数は前年同月比0.5%の上昇に過ぎないが、企業物価指数は同8.5%も上昇している。主な原因は、対前年同月比で41.9%にも及ぶ輸入物価の上昇で、原油をはじめとするエネルギー価格の上昇と円安の効果が大きい。

 エネルギー価格の上昇は、環境問題を意識して化石燃料採掘に対する投資が抑制されることから生じており、今後も「高止まり」する可能性が大きい。世界的な課題として、化石燃料の使用を抑制したいわけなので、燃料価格が上昇することは環境問題への対応としては、目的にかなっている。

 われわれは、エネルギー価格の上昇を通じて環境のコストを払い始めているのだと考えることもできる。