確定申告しないとソン! “優待おじさん”こと桐谷さんが教える米国株の配当にかかる税金のハナシ「月曜から夜ふかし」の優待おじさん・桐谷広人さん(写真・山本祐之)

昨年から米国株の高配当株に投資しはじめた“優待おじさん”こと桐谷さん。増配株や配当が年4回以上もらえる銘柄が多い点でも魅力だが、米国株の配当に関しては税金に関する注意点が! 米国株の配当にはどのように税金がかかるのかを覚えておこう。

配当は米国で10%、日本で20%が源泉徴収される

 高利回り株が多いことで注目した米国株の配当ですが、少し注意点があります。それは、米国株の配当には、基本的に日米の2ヵ国で税金が源泉徴収されるということ。まずは米国の所得税10%が源泉徴収され、そのあと日本の所得税15.315%+住民税5%で合計20.315%が引かれるのです。

 日本の源泉徴収税の引かれ方はやや複雑。まずは、米国の税金が引かれた後の米ドル建ての配当は、一旦日本円に換算されます。そこから、20.315%の税額を計算し、それを再び米ドルに換算。その額を米ドル建ての配当から差し引くのだそうです(米セント未満や円未満の端数が発生した場合、すべて切り捨てる)。その際の為替レートは、配当支払い日のTTBレートとなります。

 そして、この日本の税金については、「特定口座の源泉徴収あり」であれば、証券会社から自動的に差引かれます。

二重にかかった税金は確定申告で一部取り戻せる!

 最初、これを聞いた時に、「二重に税金が引かれるなんて嫌だなあ」と思いましたが、実は、米国と日本で二重にかかった税金に関しては、「外国税額控除」という仕組みを使って確定申告で一部を取り戻せます。

 投信やETFの分配金は20年から自動的に二重課税を調整する仕組みが導入されましたが、外国株の配当は確定申告が必要。そろそろ確定申告の時期です。忘れないように確定申告して取り戻しましょう。申告しないと損ですよ!

 なお、NISA口座で売買していれば、現地で差引かれた米国の所得税は非課税にはできませんが、日本での配当にかかる税金はゼロにできます。

 また、値上がり益(譲渡益)はシンプルで、国内で日本株同様に20.315%引かれるだけ。これもNISA口座で売買していれば、非課税にできます。

桐谷広人(きりたに・ひろと)
1949年10月15日、広島県竹原市生まれ。365日株主優待と配当で生計を立てる投資家。プロ棋士七段。バブル絶頂期の1984年に株を始め、バブル崩壊やITバブル、リーマンショックなど相場の浮き沈みを経験。資産は4億円目前。近著に『一番売れてる月刊マネー誌ザイと作った桐谷さんの米国株入門』『一番売れてる月刊マネー誌ザイと作った桐谷さんの株入門』の2冊が好評発売中。