米国社会の高齢化が進み、介護をする側も老いている。元非営利団体のロビイストで引退生活を送るボブ・ティラーさん(80)は、101歳になる母親の介護を仕切っている。2人は介護サービス付きの高齢者コミュニティーに暮らしているが、コミュニティーはティラーさんがメリーランド州シルバースプリング、母親はペンシルベニア州西部と、離れた場所にある。緊急の場合は、ティラーさんが連絡を受けて車で5時間かけて母親の元に向かう。「私が正式な責任者。所得税が申告されているか確認するのも、健康に深刻な問題があれば夜中に対応する必要があるのも私だ」とティラーさんは話す。米国では介護を担う65歳以上の高齢者が増加し、長期介護を支えてきた家族による介護体制が脆弱化している。大切な人が年を取ってもそばにいるのは多くの人にとっては幸せなことで、世話をすることは生きがいになる。しかし介護を引き受けたことで予想とは大きく異なる引退生活を送ることになる。
80代で親を介護、米高齢化社会の現実
高齢化が進み、自分が引退する年齢になっても老々介護を続ける人が増えている
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