妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。残業代ゼロ・年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になるなど、資産2億円以上を築いた。その投資術を初公開『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』

【サラリーマン投資家が教える】「FIRE」のリアルとは?Photo: Adobe Stock

「FIRE」しても大丈夫か?

30~40代で早期リタイアする「FIRE」が注目されている。

FIREとは、Financial Independence, Retire Early の頭文字を並べたもの。「経済的独立を果たした早期退職」を意味する。米国発で広がった言葉だが、書籍などを通じて日本にも広がり、すでに実現している人もいる。

FIREを実現するためには、年間支出の25倍の資産を築いてから、あとはそれを年率4%で運用することが基本となる。

支出が月20万円で年間240万円なら、240万円×25倍=6000万円の資産を築く。その4%は240万円なので、年率4%で運用できたら現在の生活水準を崩さないで、資産を切り崩すこともなく、早期リタイアが可能になるという計算だ。

この4%という数字は、米国のS&P500に連動するインデックスファンドの利回りが平均7%であり、そこからインフレ率の3%を引いて求められた。

50代半ばの自分は、ちょっとだけ早いリタイアを画策しつつ、サラリーマンを続けている。そんな自分からすると、FIREであまりに早期にリタイアすることには疑問も感じる。

早くリタイアしすぎると、残された人生の時間もそれだけ長くなる。その間にはリーマン・ショックやコロナ禍のように、景気と市場を揺るがすような予期せぬ出来事が何度も起こり得る。

数千万円の資産では心もとないし、年率4%で運用し続けるという方程式が崩れる恐れだってある。数千万円の資産では、やりたいことも満足にできない恐れがある。資産が目減りしないようにずっと気にかけながら、“食べて・寝て・出す”だけの人生を延々と送るのはつまらない。

海外プロジェクトへの参加などは、まず個人では経験できない。サラリーマンだからこそ経験できることだ。一定の年齢に達して管理職などの役職を解く役職定年になって、一線を退くようになるまでは、たとえ経済的自立を果たしていてもサラリーマンでい続けたほうが良いように思う。