自己肯定感Photo:PIXTA

国際比較調査が行われるたびに、欧米諸国の自己肯定感の高さに比べて、日本人の自己肯定感が極端に低いことが話題になります。なぜ欧米人の自己肯定感は、これほどまでに高いのでしょうか? 日本人と欧米人の自己肯定感に極端な差がある理由について考察します。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

欧米人の自己肯定感は非常に高い

 欧米人と比べて日本人の自己肯定感が低いことは常々問題とされ、自己肯定感を高めようとさまざまな試みがなされている。だが、各種国際比較調査のデータを見ると、いまだに日本人の自己肯定感の低さは際立っており、一向に高まる気配はない。

 平成30年度(2018年)版の内閣府調査でも、「自分に満足」という人の比率は、欧米諸国で80%台なのに対して日本では40%台、「自分には長所がある」という人の比率は、欧米諸国では90%前後なのに対して日本では60%程度となっている。このように、自己肯定感の国際比較をすれば、欧米人は非常に高く、日本人はそれに比べて極めて低くなる。

 では、なぜ欧米人は自己肯定感が高いのだろうか。まず、自己肯定感はどのように測定されるのかを見てみよう。多くの場合、自己肯定感は、「自分に満足している」「私は価値ある人間だと思う」「自分はダメな人間だと思うことがある」といった項目で測られている。その場合、欧米人は、大人も子どもも、前の二つの項目をほとんどが肯定し、三つめの項目は多くが否定する。反対に、日本人は、大人も子どもも、前の二つの項目を肯定するのは半数にも満たず、三つめの項目は多くが肯定する。

 なぜそのように対照的な結果になるのだろうか。それは、文化的背景が異なるからである。