武田薬品工業クリストフ・ウェバー社長兼CEOの下、変化を止めない武田薬品。リストラは“お家芸”に Photo:AFP=JIJI

国内製薬最大手、武田薬品工業のグループ会社で希望退職者募集が行われていることが分かった。武田薬品本体を含めると、国内でのリストラは3年連続。武田薬品で何が起きているのか。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

完全子会社の日本製薬で
希望退職者を募集

 国内製薬最大手、武田薬品工業のグループ会社で希望退職者募集が行われていることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 経営幹部に海外メガファーマ(巨大製薬会社)経験者を招いて一気にグローバル化へかじを切った2010年代半ばから、武田薬品では研究開発部門を手始めに、断続的にリストラが続く。この間、多くの人材が業界各社に散った。

 近年は20年のビジネス部門、21年の一部管理部門とリストラの間隔が短くなっており、目下募集中のグループ会社で3年連続のリストラとなる。このうち武田薬品が対外的に公表したのは、20年のビジネス部門のときのみだ。

 現在、希望退職者募集が行われているのは、武田薬品の完全子会社である日本製薬だ。

 日本製薬は人の血液から作り出される血液製剤の一種「血漿分画製剤」が主力で、業界内での通称は「ニチヤク」。売上高は178億円(20年3月期)と小規模だが、1921年創業の老舗製薬会社だ。医療現場では武田薬品の医薬情報担当者(MR)と同行営業していたこともあって、認知度は決して低くない。21年4月に武田薬品の完全子会社になっていた。