イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発ベンチャー、スペースXが目指す人工衛星システム打ち上げ計画を巡り、同社の重要顧客である米航空宇宙局(NASA)が懸念を強めている。宇宙空間が混雑し、衝突の危険性が高まるという。スペースXは、高速衛星通信サービス「スターリンク」向けの小型衛星の打ち上げを加速させている。1月には計画している衛星3万基の打ち上げに絡み、米連邦通信委員会(FCC)に必要な使用許可を申請した。これはスペースXが最終的にスターリンク向けに配備したいと考えている4万2000基の衛星網の大部分を構成する。ところが、NASAはFCCに宛てた2月初旬の書簡で、3万基の衛星が実際に配備されれば、宇宙の追跡物体の数が著しく増えるとし、特定の低軌道では5倍余りに達すると指摘した。