原油価格の高騰とロシアによるウクライナ侵攻を巡る懸念がサウジアラビアにジレンマをもたらしている。供給拡大を通じて価格を抑え、欧米諸国を支援すべきか、それとも米国の要求を無視して、5年にわたる主要産油国ロシアとの取り決めを順守するか。サウジは今のところ、ロシアと足並みをそろえる道を選んでいる。ジョー・バイデン米大統領はペルシャ湾岸の産油国に対して、ガソリン価格の押し下げに向けて、生産量を増やすよう繰り返し求めている。米国民にとって、ガソリン価格は新型コロナウイルス禍の初期と比べて約2倍の水準に跳ね上がっている。増産要求はここにきて切迫性を増してきた。原油価格は足元、約8年ぶりにバレル当たり100ドルの大台突破が視野に入っており、ロシアがウクライナ国境付近に軍部隊を集結させている中、展開次第では一気に節目を上抜けしかねない状況だ。