熊本県産として全国で販売されていたアサリの大半が、中国産や韓国産が偽装されたものだった可能性が高いという問題を受け、2月8日、熊本県知事は農林水産省と消費者庁を訪問し「アサリの産地偽装対策に関する緊急要望書」を大臣に手渡した。その中で、食品表示法で運用されている「長いところルール」について、アサリを適用除外とするように要望している。だが、それだけではアサリ偽装はなくならないだろう。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
食品表示法における
長いところルールとは
長いところルールというのは、生鮮食品の原産地を表示する場合「一番長く育てられていた場所を原産地(以降産地)とする」というものだ。
とても説得力のあるルールのように思えるが、実際は、多くの生鮮食品でこのルールは採用されていない。
水産物で長いところルールが採用されているのは、蓄養貝類と養殖水産物の一部だけである。天然物は、長いところルールではなく、さまざまなルールが非常に複雑に定められている。
また、養殖水産物も、すべてが長いところルールなわけではない。
国内と国外で養殖された場合は、長いところルールが採用され、養殖期間の長い方が産地になる。ところが国内だけで養殖された場合は、「重量が一番増えたところ(都道府県等)が産地」になる。