熊本県産とされるアサリの多くが、実は中国産だった疑いが浮上し、大きな問題となっている。なぜアサリが狙われるのか。そして、産地偽装を防ぐためにはどうすればいいのか。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
アサリの産地偽装で
中国産が使われる理由
農林水産省は、2月1日「広域小売店におけるあさりの産地表示の実態に関する調査結果」を発表した。昨年10月から12月までの3カ月間、全国の広域小売店1005店舗で産地表示の調査をしたところ、全国で販売されたアサリは3カ月間で推計3138トン、うち熊本県産と表示されたアサリは2485トンで、全体の約8割に上った。一方、外国産は、中国産と表示されたアサリはなく、韓国産の0.9%しかなかった。
ところが、販売されているアサリのDNA分析をしたところ、熊本県産と販売されていた31点のうち30点は「外国産アサリが混入している可能性が高い」と判定された。同時に、愛知県産、北海道産、その他の国産も分析したが、外国産が混入している疑いは一切なかった。つまり「国産と偽装表示されたアサリは、ほとんどが熊本県産の可能性が高い」というのだ。