ロシアのウクライナに対する大胆不敵の軍部隊展開は、世界の覇権を巡って米国・中国・ロシアが三つどもえの争いを繰り広げる国際政治の新秩序において、初めての本格的な衝突となった。今回の問題は、冷戦時代に米国やその同盟国が直面したものとは明確に異なる。中国とロシアは米国の影響力を弱体化させるという共通の目標の下で「共闘態勢」を構築してきた。1950年代の中国・ソ連圏とは異なり、ロシアは欧州の重要なガス供給国となり、中国は戦争で荒廃した貧しい国から軍事力を強める世界の工場へと発展を遂げた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナに対して大規模な軍部隊を展開することで、冷戦後の欧州の安全保障体制を塗り替えるよう西側諸国に要求。西側の反対や経済制裁にもかかわらず、その意思を貫く軍事力があることを見せつけた。