今回は、数多く生まれている新たなネット・サービスを、「提供者」の立場から、どんなことを考え、どのように商売をしているのか、それから、ユーザー企業として(私はユーザー企業ではありませんが)、どんなことを考え、どのように取り組んでいくべきかを書いてみたいと思います。
まずは、提供者の立場からすると、それぞれのサービスで共通して言えるのは、「損して得とれ」型のビジネスモデルだということです。
この「損して得とれ」には、大きく分けて以下の三つがあるのではと思っています。
(1)登録者数を武器に、広告など、企業からお金をもらう(多くのSNSがこれ) (2)ファンになってもらって、有料サービスに誘導する(ゲーム系) (3)サービスを拡充することによって、本業へのリピート、アップ・セル、 クロス・セルを目指す(海外の金融機関など。後述します)
(1)と(2)は、「損して得とれ」版ドミナント戦略型アプローチ、いわゆるフリーミアム・モデルです。
これは、「基本は無料」と敷居を低くしてサービスを提供し、まずは、数多くのユーザーを集める、その後、登録されている数の力を儲けのタネにしようという考え方です。
コンビニエンスストアとかスーパーマーケットのドミナント型出店戦略のように、特定のニーズのあるマーケットを絞り込み、赤字覚悟で「無料」のサービスを投下し、サービスの良さを訴求して、大量の利用者を集めるという考え方。
説明も不要だとは思いますが、大量の人数を抱えるということは、テレビでいえば視聴率の高い番組ということになります。企業にとっては、潜在顧客との接触度が高い「媒体」ということになり、広告宣伝やキャンペーンへの誘導に活用できる「媒体」としての価値から、お金を支払うことになります。
大量の登録者を集めることが出来なければ成立しないモデルなので、サービスの内容に自信がないと、機能しないアプローチです。前述の(1)(登録者数を武器に企業からお金をもらう:多くのSNS)のほとんどが、このモデルです。
(2)のゲーム系に多いモデルの話は、企業にとって関連が薄いと思うので、特に(1)に関して、どこにどのように投資していくかは、新たな広告宣伝戦略の選択肢として、非常に重要な意思決定になります。