総理大臣・徳川家康、官房長官・坂本龍馬が閣議を進める。まず議題となったのは、緊急事態宣言の発令である。幕末の天才医学者・緒方洪庵は、コロナそのものを今すぐに根絶することは現代医療をもってしても不可能だが、人流を抑制して感染者を減らすことができれば、医療崩壊を防げると語る。それを受け、厚生大臣・徳川綱吉はまずは病の勢いを止めることが肝要だと進言する。

◇緊急事態宣言発令へ

 家康は緊急事態宣言の発令を決め、国民に1カ月間の外出禁止を命じる考えを示した。経済産業大臣・織田信長はこれに対して、たった1カ月の外出禁止にいかほどの効果があるのかと異議を唱える。家康はこれを「心構え」のための期間だと述べた。戦も疫病もない時代に生きる現代の国民は平和に慣れ、死の怖れを知らない。1カ月間の外出禁止を命じることで今は平時ではないことを知らしめ、いざというときの心構えをさせる。これが家康の狙いである。

「心構えを徹底させねば戦は負ける。」

 家康は語る。

 現代日本の法制度では国民への外出禁止は「命令」ではなく、「要請」という「お願い」の形でしか実現できない。しかし、法務副大臣・江藤新平は、現代の法には解釈を挟む余地があると進言する。憲法第9条にある緊急事態第98条の解釈を広げると、国民の生命、身体、財産を守るためならば政府の強い権限をもって国民に指示を行うことができる。国民の行動制限まで盛り込んだ感染症特別措置法案を閣議決定すれば、短期間での実行が可能となる。

 民主主義などない封建時代を生きた偉人たちには、国民の顔色を窺うという発想はない。しかし、現代は法の中で動かねばならないことを理解し、多少強引ではあっても、日本の危機を救うため、緊急事態宣言の発令へ乗り出した。

◆日本を封鎖せよ!
◇日本、ロックダウン

 政府与党は臨時国会で感染症特別措置法案を審議し、衆参わずか1日の審議で強引に可決、成立させた。その後、首相官邸で最強内閣が発足してから初の記者会見が行われた。詰めかけた記者たちの前に、官房長官・坂本龍馬が姿を現す。そのホログラムとは思えぬ実在感に狂騒する記者たちを、龍馬は「ほたえな!!!」と一喝する。そのあまりの迫力に記者たちは静まり返った。

 龍馬は感染症特別措置法案に基づき、1カ月間の緊急事態宣言発令、および、同日の晩からの外出禁止令の発令を発表した。外出には許可証の申請が必要になり、許可なく外出した者には罰則が与えられる。