「応仁の乱」「刀剣女子」など、近年“日本史ブーム”が到来し、あらためて歴史を学ぶ大人が増えている。歴史小説の第一人者でもある童門氏も、「一流の人は、歴史を“情報”として捉え、自分の生き方に役立てている」という。もはや「歴史=重圧感、固い」というイメージは薄れ、現代人にとって歴史は、自身を磨くツールとして変化してきているのかもしれない。そこで前回に続き『なぜ一流ほど歴史を学ぶのか』(青春出版社)から、現代のビジネスマンでも生かせる、歴史上の人物における「リーダーシップの在り方」を紹介する。
江戸幕府を築いた徳川家康は“部下不信”だった!
戦国時代の部下はある意味で自由な時代だから、どんな価値観を持とうと互いに干渉しない。海千山千の曲者もいる。これを管理するためには、“情”一辺倒ではダメだ。時には“非情さ”も必要だし、さらに“合理性”もいる。
そういう点でのリーダーシップや部下管理の達人は、何といっても徳川家康だろう。家康は、少年時代から青年に達するまで、駿河(静岡県)の駿府(静岡市)城の今川義元の人質だった。約12年間をここで過ごしている。人質というのは、他人の冷や飯を食わされることだから人格にも影響する。家康の最後まで抜けることのなかった一種の“人間不信”の考えは、この時代に培われているのだ。