17日間にわたって開催された北京冬季五輪が幕を閉じました。今回は、選手の健闘だけでなく、「不透明なジャッジ」も注目された大会でもありました。何か問題が生じて、こちらの意見を聞いてほしいときは、互いに感情的にならず建設的な議論に持ち込みたいもの。ところが、これがなかなか難しい。ビジネスパーソンにとっても、心得ておきたいコミュニケーションスキルの一つです。(ファンセールスの専門家・作家、株式会社HIROWA代表取締役、京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授 和田裕美)
「言うべきことは言う」姿勢を貫いた
スノーボード・平野歩夢選手
2月20日、北京冬季オリンピックの閉会式が行われました。4年に一度の大舞台とあって、私もテレビ越しに手に汗握りながら応援していました。
さて、本大会では冬季オリンピックで過去最多のメダルを獲得した日本選手団の活躍もさることながら、「スーツの規定違反」「ドーピング判定疑惑」など、不透明なジャッジが続き、話題となりました。
自分たちに不利益が生じる問題が生じた際、どう対処するか。その方法はさまざまだと思います。一つは審判やルールを受け入れるという選択。他責にせず、まずは受け入れようとする日本人のこころは美しいものです。
思い出されるのは、シドニー五輪柔道男子100キロ超級決勝で、誤審のため金メダルを逃した篠原信一選手。表彰台で涙した真意を記者が問うと、「気持ちを切り替えられなかった自分の弱さに腹が立った」と語り、篠原選手は他者を責めませんでした。これぞスポーツマンシップだ、と胸を打たれた人も多いはずです。
一方で、「言うべきことは言う」という姿勢を貫く選手もいます。今大会では、男子スノーボードハーフパイプ決勝で金メダルに輝いた平野歩夢選手の対応が一際輝いてみえました。