『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
読書猿さんは以前『英語のハノン』を1日15分やることを強くおすすめなされていましたが、独学大全の副読本などでは『短文で覚える英単語1900』などがご紹介なされています。
英語はすっかり忘れてしまったしまった社会人が1日15分しか捻出出来ないとすれば、やはり「英単語のハノン」を優先的に取り組むべきだと思われますでしょうか。
学び直しにおすすめの1冊があります
[読書猿の回答]
「すっかり忘れてしまった」が「一度は英語を学んだことのある」という意味なら『英語のハノン』を試してみることをお勧めします。
「すっかり忘れてしまった」が字義どおりで、本当にアルファベットも怪しいというなら、他に取り組むべきものはあると思います。
『英語のハノン』の学習負荷は決して軽くはありません。これに取り組むアドバンテージは、学習者ができるだけ早く自分の変化を実感できるように、その負荷がデザインされているところです。
『独学大全』で「学ぶことは変わること」と繰り返しましたが、学ぶことで生じる自分の変化を感じることは、強力な学習のモチベーターとなり得ます。
私の乏しい経験のうち、このことを最も強く体験したのは、膝を壊して6週間の全ギブスの後、歩くためのリハビリをした時です。バーで身体を支えてヨロヨロと一歩一歩進む度、小さな段差をゆっくり一段ずつ登る度に、神経回路がつながり筋力がどんどん戻ってくるのを感じました。
『英語のハノン』をやってみて、それに近い感動を覚えました。本書によって英語学習自体に拍車がかかれば、他の教材に取り組む場合にも後押しが得られると思います。