ダイヤの原石を磨く「グッデイデータアカデミー」

 変わり始める前夜のグッデイについて、柳瀬さんが師と仰ぐグルーヴノーツ社長の最首英裕さんが話してくれた。

「私にはグッデイがダイヤの原石に見えたんですよ。私はそれ以前にも多くの小売業を見てきました。小売業ってこだわりが強すぎる人が多かったりします。でも、グッデイは、特に店長やスタッフなど素直な人が多い。柳瀬さんも物事をフラットに見られる人。妙な前提知識で新しい取り組みを拒むような空気もない、希有な会社に思えたんです。『これはもしかすると、もしかするかもな』と」

 データ分析を加速させるため、グッデイは、「グッデイデータアカデミー」という勉強会をスタートした。20代後半から30代前半の社員を各部署1人ずつ集め、データベースを操作するためのSQL言語や、データ分析のためのプログラミング言語「R」、Pythonの基礎、Tableauの使い方、Googleスプレッドシートなどで使われるGoogle Apps Scriptなど、社員が交代で講師となり、教え合う形式で進めた。ただ、手法やツールの使い方だけマスターしても実務で成果を出すのは難しい。業務理解を深めるため、マーケティング、財務会計、マーチャンダイジングなども基礎から学んでいった。

「グッデイデータアカデミー」によって、各部署に最低1人はデータ分析に関する幅広い知識を持つメンバーがいるという状況ができあがった。売り場の店員や経理部・マーケティング部から参加して、社外からもリスペクトされるデータ分析のスペシャリストへと成長したメンバーもいる。これがその後、具体的な取り組みを進める上で大きな推進力となった。

グッデイ本社。他社のDXを支援するカホエンタープライズの設立や、オフィスに緑を提供するサブスクリプション型サービスの立ち上げなど挑戦は続く Photo by Mayumi Sakaiグッデイ本社。他社のDXを支援するカホエンタープライズの設立や、オフィスに緑を提供するサブスクリプション型サービスの立ち上げなど挑戦は続く Photo by Mayumi Sakai