2007年にホームセンター業界で先駆けてSPA(製造から販売までを一貫して手掛ける小売業)を始めるなど、業界では異色の存在となっているカインズ。今年3月1日付で、同社を傘下に持つショッピングセンターチェーンのベイシアグループ創業家出身の土屋裕雅氏に代わって、部品メーカーのミスミグループを立て直したプロ経営者である高家正行氏が社長に就任する。それに先行して2月18日、創業以降初めて中期経営計画を発表し、従来の小売業からの脱却を図る。躍進中の作業服専門店のワークマンの兄弟会社である同社は、業界の台風の目となるか。次期社長の高家氏に話を聞いた。
(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相馬留美)
――ホームセンター業界はこの10年市場が横ばいです。市場に対してどのような認識を持っていますか。
ホームセンター業界には、構造的な課題があります。既存店の売り上げが下がっても新店を出せば全体の売り上げは伸びるので、成長は新店頼みとなり、全体的には「緩やかな後退」に慣れてしまっている。都心部に店を出すようになれば、家賃が高くなり、収益率も下がるので新店効果も下がってくる。カインズはその中でも1989年の創業から増収増益を続け、売上高4000億円の規模になりましたが、この先の10年、20年を考えると、構造的な問題を解決しなくてはならず、業績が良いうちに改革に手を付けようと考えました。