ムゲン食堂を経営するGlidge代表取締役社長の 谷村昌樹氏 Photo:by Masaki Tanimuraムゲン食堂を経営するGlidge代表取締役社長の谷村昌樹氏 Photo:by Masaki Tanimura

新型コロナウイルスの影響が続く飲食業界。4度目の緊急事態宣言が明けて客足は戻りつつあるものの、2019年同時期と比べて64%に留まっている。逆境から立ち上がろうと試行錯誤する飲食店を取材した。今回はコロナ禍の2020年8月にオープンした、京都「ムゲン食堂」。リピーターの集客、スタッフの人数減をLINEで解決すべく取り組んでいる。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

コロナ禍のオープン、お客にもう一度足を運んでもらうには

 2020年8月、コロナ禍真っただ中でオープンしたムゲン食堂(京都市中京区)。代表の谷村昌樹さんは、18歳で飲食業に飛び込み、経営メンバーを経て2019年に独立。開店の準備を進めてきた。

「コロナ禍の船出は不安でいっぱいでした。開店後しばらくは『Go To Eatキャンペーン』の恩恵にあずかりましたが、キャンペーンが終わったら、お客さまはもう来てくれないのではないかと」

 ムゲン食堂は客単価1300円前後と懐に優しい店だ。その分、店の存続には一定の客数を確保しなければならない。緊急事態宣言、時短営業、酒類提供の制限が続く状況では困難を極めた。忘れられない店になり、もう一度足を運んでもらうにはどうすればいいのか。店の構想段階からオンラインでの顧客接点作りに関心があった谷村さんは、LINE公式アカウントとLINEミニアプリを使ったテーブルオーダーに活路を見出した。