厨 菓子 くろぎでは季節毎に旬の食材を使ったかき氷を提供している。花をあしらうなど美しい盛り付けも印象的だ。スプーンがカレースプーンくらいのサイズといえば大きさが分かるだろうか Photo: トーキョーウジキントキ廚 菓子 くろぎでは季節毎に旬の食材を使ったかき氷を提供している。花をあしらうなど美しい盛り付けも印象的だ。写真はアボカドをつかったかき氷「和ぼかど」。スプーンが大きめのカレースプーンくらいのサイズといえば、かき氷の大きさが伝わるだろうか 写真:トーキョーウジキントキ

新型コロナウイルスの影響が続く飲食業界。一部の店舗では、DXによる課題解決に取り組んでいる。今回取り上げるのは、多くのかき氷好きに支持される「廚 菓子 くろぎ」。行列ができる人気店だが、紙台帳での順番待ちは多いときで3割がキャンセル。かなりの機会損失につながっていた。危機感に震えたかき氷店が、日々厨房に立ちながら遂行中のDXとは?(ノンフィクションライター 酒井真弓)

90組中30組がキャンセル、行列で機会損失していた人気店

 予約困難な日本料理店「くろぎ」がプロデュースする和カフェ「廚 菓子 くろぎ」(東京都文京区)は、一日200人以上が来店する人気店だ。わらび餅やくずきりなどを提供するが、特にかき氷はファンが多い。

清藤亮佑さん株式会社KUROGI カフェ事業部 統括責任者 清藤亮佑さん  Photo by Ryosuke Seito

 カフェ事業を統括する清藤亮佑さんは、行列を前にして日本料理店が大切にする「一客一亭(一人の客人を一人の亭主がもてなす)」の実現に苦戦していた。感染予防の観点はさることながら、紙台帳での順番待ちはいつになったら自分の番がくるのか分からず、多いときで90組中30組がキャンセル。かなりの機会損失を招いていたのだ。

「デジタルで効率化できるところは効率化し、人がしっかりおもてなしできる余白を作りたい。そこで、継続的な関係構築のためにLINE公式アカウントを、混雑緩和のためにLINEミニアプリの順番待ち機能を使い始めました」(以下、清藤さん)