中国の銀行と同国独自の国際決済ネットワークは、理論上は西側諸国から厳しい経済制裁を科されたロシアに支援の手を差し伸べることができる。中国は他国への制裁回避のほう助で一定の経験を持っており、国際金融システムにおけるドルの地位を低下させるという野望で、中ロの目標は一致している。だが、現実にはそう簡単ではない。西側諸国は足元、ロシアに一連の制裁を発動した。ロシア銀行(中央銀行)による外貨準備へのアクセスをほぼすべて断ち、世界的な金融決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの一部銀行を排除した。中国はかねて「ドル覇権」とみる国際金融制度に懸念を抱いており、米国との貿易戦争が激化したことでなおさら警戒感が強まった。そこで仲間となって「共闘」態勢を組んだのが、2014年のクリミア半島併合で制裁を科されたロシアだ。
制裁に苦しむロシア、中国の銀行が助けない理由
二次制裁のリスクに細心の注意を払う中国の金融機関
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