2月初め、警視庁捜査二課が医療ベンチャー「テラ」株のインサイダー取引容疑で建設会社社長ら3人を逮捕、下旬にはテラと提携した医療コンサルタント会社「セネジェニックス・ジャパン」の竹森郁元取締役も逮捕した。
医薬経済ONLINE2021年12月1日号で報じたが、テラは新型コロナウイルス感染症が急拡大した20年4月、セネジェニックスと共同で新型コロナ治療薬を開発すると発表。続いてメキシコの子会社が行っていた臨床試験に成功し、メキシコ・イダルゴ州で薬事承認を受けた、と公表した。むろん、100円台だったテラの株価は急騰した。
だが、次々に発表した話が「ウソ」だったことが露見し、同社の株価は急落。弁護士が主導する調査委員会による調べでメキシコでの臨床研究はセネジェニックスが持ち込んだつくり話だったことが判明した。
インサイダー取引はその最中に起こったものだが、証券取引等監視委員会が21年春、調査に入ったものの、その後の動きが伝えられないなかでの警視庁の摘発だ。逮捕した3人はセネジェニックスの幹部に近い人物で、インサイダー事件は詐欺事件解明の取っ掛かりだとも言われている。果たして警視庁の捜査でテラが巻き起こした詐欺事件の全容が明らかになるか。