エーザイ,認知症新薬の「エーザイ」株価下落!承認先送りで安堵した面々とは?Photo:123RF

 2021年12月24日、エーザイの株価は下落し、年初来安値(6430円)を更新した。6月22日の年初来高値1万2765円から半年間で半値となった。その理由は周知のとおり、日米欧で物議を醸した米バイオジェン/エーザイのアルツハイマー病(AD)治療薬「アデュヘルム」(一般名=アデュカヌマブ)に厳しい判断が突き付けられたからだ。

 12月22日に厚生労働省が緊急開催した薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は、同薬について「現時点で得られたデータから、有効性を明確に判断することは困難」として承認を見送った。部会で再審議されるには、新たな臨床試験で得られたデータが必要になる。継続審議扱いのようだが、承認への道は困難を極めるだろう。

 投資家には驚きをもって迎えられたアデュヘルムの継続審議とエーザイの株価急落について、市場関係者からは「あんなに下がると思わなかった」との声が漏れた。

 その背景には、アデュヘルムを承認した米国でもさらなる試験データを求められていること、上市直後の21年7~9月売上高が30万ドル(3300万円)で、日本で承認されても売上高はさほど期待できないと見込まれていたから、などが存在した。

 それでも株価が急落したのは、アデュヘルムが保険適用されれば、どんな使用上の縛りがついても、医師は患者の求めに応じて投与すると思われていた節がある。市場関係者の見立てに比べ、現場でのポテンシャルは想像以上に高いと期待されていたようなのだ。