「ダイエットのためには野菜をたくさん食べたほうがいい」、は正解か?

ダイエットのためには野菜をたくさん食べなくちゃと、お皿いっぱいのサラダを食べている人がいます。産業医として年間5万人の健康指導を指導する総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で、ダイエット中の野菜サラダは、たくさん食べることよりも、いつ食べるかのタイミングがとても重要だと言います。ダイエット中に食べる野菜はどのタイミングが正解なのでしょうか?(文・監修/総合内科専門医 益江毅)

せっかく野菜をたくさん食べても
ダイエット効果がない場合も

 ダイエットのために、野菜をたくさん食べてお腹をふくらませたり、夜は野菜鍋だけ食べる、といった「野菜だけダイエット」を行う人がいます。

 これも「カロリー制限」の考え方が根本にあり、野菜はローカロリーだから太らない、という間違った常識によるものです。野菜だけをたくさん食べても実質的には断食しているのと変わりません。

 一時的に体重が減ったとしても、リバウンドしやすくなります。また、野菜だけを単体でとってもダイエットの効果はほとんど期待できません。炭水化物と組み合わせて摂取することで、はじめて野菜の持つダイエット効果を最大限に引き出すことができます。

 ビタミンやミネラル、抗酸化作用のあるポリフェノール、食物繊維などの栄養成分を豊富に含む野菜はたっぷり食べてほしいところですが、ダイエットを目的とするなら「食べるタイミング」が最も大切です。

 食事の最初にたっぷりととる「ベジタブルファースト」、糖質を最後にとる「カーボラスト」を心がけることで、たとえ、たくさんの野菜がとれないときでも、効果的に食後の血糖値の急上昇を抑えて、ダイエットを成功に導くことができます。

 ただし、「野菜」というカテゴリーには入っているものの「イモ類」は食べすぎには注意が必要です。

 イモ類はでんぷんのかたまりです。イモ類には多くの糖質が含まれているため食後血糖値が非常に高くなる「糖質おかず」なのです。イモ類と同様に、レンコン、カボチャ、トウモロコシも糖質の多い野菜です。

 カボチャやレンコンを使った煮物はヘルシーなおかずとしておなじみですが、材料に糖質が多い上に、みりんや砂糖といった糖質の多い調味料で味付けされているので、血糖値は上がりやすくなります。

 つまり、野菜も種類によって「ファースト」「ラスト」をうまく使い分ける必要があるのです。

 糖質の多いメニューは、食事の最初にとるのではなく食事の最後にとる「カーボラスト」を意識することで血糖値の急上昇を抑えることができます。また、糖質の多いおかずを食べるときにはいつもより主食の量を軽めにする意識も大切です。

 なお、野菜サラダにドレッシングをかけるときには栄養成分表示の「炭水化物」または「糖質」の量にも気をつけましょう。カロリーオフや和風のドレッシングは脂質が少ない分、糖質が多めになっているので、せっかく「ベジタブルファースト」を実践してもドレッシングの糖質によって血糖値が上がってしまっては意味がありません。