ダイエッターが購入することが多いノンオイルやローカロリーのドレッシング。いかにも痩せそうなネーミングだが、産業医として年間5万人の健康指導をする総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で「これらのドレッシングには実は糖質が多く含まれる」と指摘する。人間の肥満に大きく影響するのは脂質ではなく糖質。その糖質が増えてしまえば、むしろダイエットには逆効果になってしまう恐れすらあるのだ。(文・監修 /総合内科医 益江 毅)
「べジタブルファースト」が台無しに!?
主食や食材に含まれている糖質量に気を配っていても、意外と見落としがちなのが、調味料に含まれる糖質です。
中でもドレッシングは、計量することなく容器から直接かける方も多く、結果、実際に自分がどのくらいの量をとっているのか把握しづらいものです。せっかく「べジタブルファースト」(野菜を先に食べて血糖値の上昇を抑える食事法)を意識していても調味料の選択を間違うと、知らないうちに糖質をとりすぎて食後高血糖を起こしてしまうことがあります。
食品メーカーは、ダイエットを意識している消費者向けにカロリーを抑え、脂質を減らした「ローカロリー」「ノンオイル」のドレッシングを扱っています。しかし、脂質を減らすとうま味が落ちることが多いため、糖質を増やすことで味を整えている商品も多く見られます。同じ種類のドレッシングで、普通のものとローカロリーやノンオイルの商品成分表にある糖質量を比べてみてください。ローカロリーやノンオイルのほうが糖質量は多いかもしれません。
甘みのあるゴマドレッシングは、血糖値の上昇を抑える働きを持つ脂質や酢が含まれていますが、糖質も多く含まれるので血糖値の上昇抑制効果はやや落ちてしまいます。
理想的なドレッシングは糖質量が少なく、脂質、タンパク質、酢をたっぷり含むもの。糖質を多く含むあっさりした和風ドレッシングより、糖質が少なく、脂質、タンパク質が豊富なマヨネーズやシーザーサラダドレッシング、フレンチドレッシングが特におすすめです。
マヨネーズがダイエットに最強である理由
中でも、カロリーが高いからとこれまでダイエットの大敵とされてきたマヨネーズは、実は糖質量が少なく、血糖の上昇を抑える脂質、タンパク質が豊富に含まれているため、食後高血糖を起こしにくいダイエットには最適の調味料なのです。
実際に、ゴマドレッシング、マヨネーズ、青じそドレッシングをかけた「べジタブルファースト」を行った実験によって、マヨネーズが最も食後高血糖を抑えることが確認されています。
サラダとご飯の摂取順序を変えて摂取する際、かけるドレッシングをゴマドレッシング、マヨネーズ、青じそドレッシングに変えて食後血糖値がどう変化するかを女子学生10名を対象に調べたものです。その結果、占める脂質が高いほどその抑制効果は顕著でした(ただし、ご飯を先にとった場合はドレッシングによる違いは見られませんでした)。
市販のドレッシングを買うときには、成分表を必ずチェックしましょう。これからはカロリーは見る必要はありません。できるだけ糖質の量が少ないもの、タンパク質や脂質を多く含む物を選びましょう。
他の調味料で要注意なものは?
和食や中華料理などの「あんかけ」は、とろみ付けのために片栗粉が使われています。片栗粉の材料もでんぷんで、糖質そのものです。一見すると、脂質が少なくてあっさりしていることからダイエットによさそうな和食ですが、みりんや砂糖など、糖質が多い調味料が多く使われたりしています。
また、ウスターソースやトマトケチャップ、オイスターソースや様々なたれにも意外に多くの糖質が含まれているので、たくさん使うのは控えたほうがよいでしょう。
酢やゴマ油には食後高血糖の上昇を抑える効果があることが知られています。これらを料理に加えることで、血糖値の上昇にブレーキをかけましょう。