リトアニアのルクラ軍事基地では、国境の東方約100キロメートルに位置するロシアの脅威を懸念し、何年も前から厳戒態勢を敷いている。一方、同国の西側にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、そうした懸念を見くびっていた。だが今や、NATOはこの遠く離れた前哨地に武器や兵力を投入している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2月24日にウクライナの軍事侵攻を始めて以来、他のNATO加盟国はルクラ基地に600人の部隊を派遣し、リトアニア全体に駐留するNATO軍を3000人に倍増させた。NATOは今後、米兵など1000人を増派する予定だ。リトアニアの基地の変貌ぶりは、つい3年前には存続そのものが危ぶまれたNATOを揺るがす劇的変化の一端をなしている。NATO加盟国はウクライナに大量の武器を供与し、わずか数週間前に考えていたより何十億ドルも多く国防費を支出する計画だ。またNATOの東端地域に恒久的に部隊を駐留させることも検討している。それは今までロシアに配慮してNATOが控えていた行動だった。