米国では目下、放射線の被爆から身を守るとされるヨウ素剤(ヨウ化カリウム)の在庫切れが相次いでいる。ロシアによるウクライナ侵攻がエスカレートし、核を巡る衝突や放射能漏れを招く事故が起こりかねないとの市民の警戒感を色濃く反映している。米食品医薬品局(FDA)からヨウ素剤の販売を承認されている数少ないメーカーの1社であるアンベックスでは、2月24日の週に注文が殺到。月末までには完全に売り切れとなった。アンベックスのアラン・モリス社長は「1300万錠を受注したが、まだ製造が追いついていない」と話す。現在は生産に必要な原料の到着を待っているところだという。別のメーカー、BTGファーマシューティカルズも、需要が欧米諸国向けの供給を上回ったと説明している。アンベックスとBTGはいずれも増産して需要急増に対応しているという。FDAが販売を承認している3社目のミッション・ファーマカルはコメント要請に応じていない。