“薄利多売”の100均業界で、セリアが高い収益性を実現できるカラクリ写真はイメージです Photo:PIXTA

今回は100円ショップ業界大手のセリアとワッツの2社を取り上げる。「薄利多売」のイメージが強い100円ショップだが、実はセリアは売上高に占める営業利益の割合(売上高営業利益率)が2桁と、高い収益性を実現している。高利益率の理由とは何か。決算書から読み解いてみよう。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

100円ショップの
決算書の特徴とは?

 今回は、100円ショップの決算書を比較してみよう。売上高が業界第1位のダイソー(大創産業)は非上場企業であることから、売上高業界第2位のセリア(Seria)と第4位のワッツ(Watts)を取り上げる。

 薄利多売で知られる100円ショップだが、決算書にはどのような特徴があるのだろうか。そして、100円ショップの中でも高い収益性を誇るセリアの決算書を読み解くことで、100円ショップ事業で利益を上げるためのポイントを探っていこう。

 下図は、ワッツの決算書を図解したものだ。

 まず貸借対照表(B/S)から見ていこう。B/Sの左側(資産サイド)において最大の金額を占めているのは流動資産(約160億5000万円)である。この中には現預金(約61億6900万円)のほか、棚卸資産(約74億4400万円)が含まれている。

 また、通常の小売業においては受取手形や売掛金はほとんど計上されていないことが多いが、ワッツの場合には直営の100円ショップでの売り上げに加えて、国内のFC(フランチャイズ)店や海外の取引先に対する卸売りでの商品提供による売り上げがあるため、流動資産に受取手形及び売掛金が約21億5100万円計上されている。