コロナをきっかけに広まった
日本の陰謀論者による動き

 コロナ禍を契機に、日本でも大きな陰謀論の動きが起きている。最近、全国でノーマスク・反ワクチンのデモを行っている「神真都Q(読み方はヤマトキュー)」だ。

「神真都Qとは、陰謀論インフルエンサーのもとで“光の戦士”を自称し活動している集団です。全国47都道府県でLINEのオープンチャットをつくり、仲間を集めているのです。1月に渋谷で行われたデモは1000人規模の参加があり、今後も各地でデモを予定しています」

 1月のデモは「ノーマスク・反ワクチン」を主題に掲げていたが、神真都Qの本当の目的はそこではないという。雨宮氏が自身のnoteに記した文章を引用すれば、「(潜在能力を解放して闇の勢力を倒し、『覚醒者』のみで理想の世界に行く)計画を実現するには人口の37%を覚醒させる必要がある。従って真実を拡散しなければならないのだ」(雨宮純氏のnote「神真都Qとは何か」より)。

 また、神真都Qは、ドナルド・トランプを救世主と崇める集団「Qアノン」の日本代表を名乗っており、「ディープ・ステートという悪の勢力が世界を裏から操っており、それを倒すのがトランプである」といった主張もしているという。

 デモの現場を取材した雨宮氏によれば、先頭を歩くメンバーは「渋谷の皆さんご存じですか!実はディープ・ステートというのが子供をさらっており…」と訴えていたという。
 
 なお、2021年には「テスラ缶」とよばれるものが一部で話題となった。「ありとあらゆる病を治すことができる缶」とうたい、正規品は250万円の高値で売られた。もちろん、科学的な根拠はない。

 このテスラ缶に関わった人物も神真都Qのデモに頻繁に参加しており、現在、テスラ缶は「神真都缶」とも呼ばれているようだ。

「さらに、神真都Qは全国各地に“エデン”なる拠点を作るとして、土地の視察を始めています。その模様はYouTubeにも載っており、団体のリーダーはそこで『土地を提供された』と発言しています」

 神真都Qでは寄付金も受け付けており、活動は日に日に大きくなっている。単なるオカルト団体だと甘く見てしまいがちだが、「土地の取得が始まっているとすれば、今後大きな問題に発展する可能性も。注意深く見るべきです」と雨宮氏は警鐘を鳴らす。