日本初の女性総理に就任する見通しの高市早苗氏。下馬評を覆した“サプライズ当選”に投資家も浮足立っているのか、金融市場ではいわゆる“高市トレード”が続き、日経平均株価も過去最高値を更新。金融緩和路線を踏襲するアベノミクスの継承者とみられ、さながら「サナエノミクス」が発動した際、どんなテーマや銘柄が注目すべきなのか。ダイヤモンド・ザイのアナリスト、仲村幸浩さんに聞いた。(綾部和也、ダイヤモンド・ザイ編集部)

※株価データは2025年10月6日時点。

「ダイヤモンド・ザイ」2025年12月号(2025年10月21日発売予定)の「ZAiニュースチャンネル Topic1 新総裁のハナシ!」を基に先出し配信。

「防衛」関連株が上昇本命か
高市早苗が注力する経済テーマ

 2025年10月4日、小泉進次郎氏との決選投票に勝利して自民党総裁に就任した高市早苗氏。

 日経平均株価は自民党の総裁に選出されてから、最初の取引では早速、過去最高値を更新。投資家の高市政権に対する最初の反応はポジティブだったといえる。

 気になるのは高市政権の政策によって株価の継続的な上昇が見込めるテーマや銘柄と、10月10日に明らかになった、公明党の連立離脱の影響だ。

 自民党総裁選のホームページに掲載された高市氏の所見では『大胆な成長投資』の中の『経済安全保障の強化』において、不可欠な成長分野として『防衛』『AI・半導体』『ペロブスカイト太陽電池・核融合』『バイオ・創薬』『航空・宇宙・造船』などが挙げられている。これらが「高市銘柄」の本命となるのは間違いないだろう。

 では、公明党の離脱によって、その方針は揺らぐのか。

 ザイ・アナリストの仲村幸浩さんによると「公明党が連立を離脱し、政権の枠組みは変わるかもしれませんが、仮に国民民主党や日本維新の会との連立なら、『積極財政』という大きな方向性は変わらないと思います。したがって、注目されるテーマや銘柄も変わらないのではないでしょうか」と言う。

 では、高市氏が総裁になるという前提で、サナエノミクス株のテーマと注目株について、みていこう。「高市銘柄」の中で、仲村さんのイチオシは防衛関連だ。

「保守本流の高市総裁は『防衛力と外交力の強化で日本の平和を守る』と大きく打ち出していることから、防衛の政策重要度の高さが窺えます」

 個別銘柄では三菱重工業だ。発電用タービンや造船、航空関連も手掛けるほか、防衛省から直接受注も受けていることも業績の伸長を後押し。2024年度は1兆4500億円を防衛省に納入しており、2位の川崎重工業の納入額の2倍以上と、大きく引き離す。