
大阪が発展するために不可欠な
「新・名古屋モデル」への転換
9月30日、日本維新の会(以下、「維新」)が「副首都構想」の骨子案を発表した。
「大阪都構想」は過去2度にわたり住民投票で否決されてきたが、その代替案として維新が参院選で公約に掲げたのがこの副首都構想だった。
維新はこの構想で大阪を東京と並ぶ経済中心と位置づけ、災害時には首都中枢機能を代替できるようにするとしている。
だが、首都機能を分散して一部を大阪に移転するだけでは、行政の縦割りが強まるだけであり、関西経済の真の自立にはつながらないと考えられる。
実際、大阪が都構想に奔走しているあいだに、名古屋は国の支援を受けずに自前の産業構造を築き、日本経済を支えるもう一つの大都市として発展を遂げている。
大阪が今後、西日本の中心都市として発展するために、政治ではなく産業を軸にした「新・名古屋モデル」への転換が不可欠であると考える。
東京と大阪の連携を
妨げる心理的な溝
日本の都市構造を語るとき、必ず持ち出されるのが、上述した「東京一極集中」である。
中央集権の傾向が強い日本においては、人口・資本・情報・行政のほぼすべてが東京に集まり、他の都市はそれを補完する役目を担っている。このスタイルが東京一極集中と地方の活力を奪う「歪み」をもたらしている。
このゆがみを是正し、大阪が西日本を支える拠点となる方策の一つとして、維新は都構想にこだわってきた。
今回の「副首都構想」は、東京と大阪が一気団結して、国家機能を分散する形で日本政治を支えるという考え方だが、現実には、東京と大阪が手を取り合ったという事例は寡聞にして知らない。