勝率60%は、たった2.2%

シャープレシオの考え方に基づいて考えると、優良銘柄の定義は「一定期間において、なるべく多くの期間で市場全体(TOPIX)のリターンを上回った銘柄」となります。

具体的には、TOPIX採用銘柄のうち、時価総額(株価×発行済株式総数)で上位の1000銘柄を対象とし、過去10年間にわたり毎月のパフォーマンスをTOPIXと比較します。

TOPIXよりリターンが1%でも上回った月は「勝ち」、下回った月は「負け」とすると、各銘柄には10年間で「12カ月×10年=120回」の勝敗がつきます。

さて、1000銘柄を分析すると平均的な勝率はどれくらいになるのでしょうか?

実際に検証してみてわかったのは、単純平均でおおよそ「50%±0・2%」の中に入るということです。

つまり、TOPIXと比べて個別銘柄が勝つ確率はおよそ50%(ほぼ60勝60敗)なのです。

そこで、勝率が60%以上の銘柄がいくつあるかを調べてみました。あなたは1000銘柄中、「勝率60%以上」は何銘柄くらいあると思いますか?

300銘柄くらいはありそうでしょうか。それとも50銘柄くらいでしょうか?

正解は、なんと22銘柄。つまり、2.2%です。

ちなみに、「優良銘柄」のイメージが強そうなトヨタ自動車の勝率は42・5%。ファーストリテイリングは58.3%。ソニーが47.5%。日本電産は50.8%でした。

ファーストリテイリングでもTOPIXに60%以上勝つことはできず、トヨタやソニーは負けていることのほうが多いというのは、意外な結果だと感じないでしょうか。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)