出会い系のネットサービスと言うと、日本ではまだまだ怪しげなイメージがつきまとっているが、実名制をベースにしたFacebookの普及により、Facebookと連携したマッチングサービスが増えているアメリカでは、上場企業も生まれるほど社会的な認知が進んでいる。日本でも婚活などで真剣に出会いを求めるユーザーに対し、Facebookと連携して安心安全な出会いの提供を謳ったサービスは支持を集めているようだ。

Omiai」は、Facebookで理想の相手を検索し、気に入れば交流を深めることができるアプリ。お互いに「いいね!」ボタンを押してマッチングが成立すると、ダイレクトメッセージを送れるなどのコミュニケーションが可能になる。リリース6ヵ月で10万件のマッチングが成立し、急成長を遂げている。

frigg」は、より婚活色を打ち出したサービス。利用開始時に100問以上の質問に答え、そこから導き出されたデータの解析によって相性の合う相手を紹介してくれる。

「自分の好きなものや大切にしていることでつながる」をコンセプトにしたソーシャルマッチング「Steady」。スマートフォン限定にするなど、利用には独自の審査基準が設けられている

 そして、11月にリリースされた「Steady」も同様にFacebookを基盤としているが、「自分の好きなものや大切にしていることでつながる」をコンセプトに掲げている。趣味や嗜好を接点に出会いを広げていこうという趣旨を前面に打ち出したサービスだ。

 どのサービスも「出会い系」のマイナスイメージを払拭するために、運営には細心の工夫がなされている。Steadyを例にとると、Facebookの偽アカウントは運営側が目視で排除。独自の審査基準も設け、24時間の監視体制を敷いている。迷惑行為に関しては徹底的に調査し、事実が確認できた時点で強制的に退会。その上で、運営者自身の顔写真も公開している。

「安心して利用してもらうために“運営者の顔が見える”というのは非常に大事だと考えています。僕たちは本当に価値のあるサービスを提供したいので逃げも隠れもしませんし、堂々と顔写真を公開し、パブリックな存在として世にこのサービスを提案したいのです」(G3株式会社代表取締役 山口博道氏)

 Steadyの使い方はシンプルだ。ユーザーは自分の趣味や興味に関する写真やコメントを投稿する。その一方で自分の感性に合う投稿を探す。気になった人を見つけたら、「メッセージをしてみたい」とのリクエストを依頼。それを相手が承認したら、マッチング成立。メッセージを交換することが可能になる。このメッセージが2往復すると、互いのFacebookアカウントが公開されるという仕組みだ。

 Steadyでのアクションは、Facebook上には一切表れない。また、Facebookでの友達は検索結果に表示されないようになっており、周囲の人に知られずにサービスを利用できるよう注意が払われている。

 Steadyの開発に当たったメンバーは、実際に結婚を考える30歳前後のメンバーだ。当事者世代の真摯で切実な思いが、この企画につながった。

「私自身、30歳になりますが、大学の友達の半分以上はまだ結婚していません。彼らは別に結婚したくないわけではないです。経済的にも比較的充実していますが、運命の人に出会う機会がない。そういう人がたくさんいます」(同氏)

 働き方の多様化が進み、集団に帰属しない未婚者が増えた現実。たとえ、組織に所属していても、雇用形態が細分化され、福利厚生が薄くなるなど、職場でのコミュニケーションを図りにくい現実もある。そこで、より広い範囲で自分の趣味・嗜好に共感し、高めていける相手を探す。本気でその手助けをしたい、というのが開発サイドの思いだ。

「海外では、SNSを利用したマッチングサイトは市民権を得ています。日本にもその文化を根付かせたいし、それが当たり前の未来だと思っています。Steadyのミッションは、インターネットを通じて知り合うことが“当たり前”という文化を作ることです」(同氏)

 アメリカでは、マッチングサイトの最大手「Are You Interested?®」を運営するSNAP Interactive, Inc.がナスダックへの上場を果たすなど、こうしたサービスは社会に浸透している。

 もちろん、ネット上の出会いを交際、結婚へと進めていくのは当事者の力量次第だが、日本にもSNSの定着とともに出現した新しい出会いのプラットホームが、忙しいビジネスパーソンの人生を切り開いてくれる一助になるかもしれない。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)