ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
チェコはどんな国?
東ヨーロッパ中央部に位置し、隣接する国々とは山脈を国境にする内陸国です。
東隣にはかつて同じ国を構成したスロバキアがあり、丘陵の多い東部のモラヴァ地方と西部のボヘミア地方からなります。首都プラハのあるボヘミア地方は盆地状の地形で、エルベ川上流のヴルタヴァ川(ドイツ語でモルダウ川)が流れています。
ナチスドイツの占領下にあった第二次世界大戦が終結した後、ソ連の影響の下で社会主義体制の国となりました。
1968年に「プラハの春」と呼ばれる自由化運動が進められましたが、ワルシャワ条約機構軍に鎮圧されました。翌年、新たにチェコとスロバキアの連邦制による国になりました。
ワルシャワ条約機構
1955年にソ連と東欧の社会主義諸国(東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア)が、NATO(北大西洋条約機構)に対抗して結成した軍事同盟。
社会主義の崩壊と、スロバキアからの分離
1989年に反共産主義運動が進み、社会主義体制は崩壊します(ビロード革命)。1993年にはスロバキアと分離して新しい国となり、その後、NATOとEUに加盟しました。
石炭などの鉱物資源に恵まれて、従来から重化学工業が発達し、1995年には東ヨーロッパで初めてOECD(経済協力開発機構)に加盟しました。とりわけ機械、自動車関連の工業が盛んで、新体制以降、外国企業の進出が活発になりました。
一方、ピルスナービールやボヘミアガラスで知られるように醸造やガラス加工などの伝統工業も盛んです。
温泉地や歴史的建築物を残す都市が点在し、とくに「プラハ歴史地区」は世界遺産に登録され、観光も大きな産業になっています。
チェコ共和国
面積:7.9万㎢ 首都:プラハ
人口:1070.3万 通貨:チェコ=コルナ
言語:チェコ語(公用語)、スロバキア語
宗教:無宗教34.5%、カトリック10.4%
隣接:ポーランド、スロバキア、オーストリア、ドイツ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)