ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

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モルドバはどんな国?

 モルドバは東ヨーロッパに位置し、北と東をウクライナ、南と西をルーマニアに囲まれた内陸国です。国土の大半は、ドニステル川とドナウ川支流のプルト川に挟まれた丘陵地です。

 ロシアとトルコの間に位置するため、その係争地となりロシアの占領を受けたこともあります。

 第二次世界大戦後は、国名をモルダヴィアとして旧ソ連を構成する社会主義体制の国でしたが、1991年にモルドバと国名を変更しました。

ロシア、ルーマニアとの関係が深い国

 歴史的に関係の深いルーマニアへの帰属意識があって、ソ連時代に使われたキリル文字を1989年にラテン文字に変更し、2013年には公用語もルーマニア語になりました。

 一方、東部のロシア系住民が多い沿ドニエストル共和国や、南部のトルコ系住民が多いガガウズ自治区で独立を求める動きもあります。

 ウクライナから続く黒土地帯にある農業国です。とくにワインが有名で主要な輸出品になっています。経済的にもルーマニアとの関係が強く、最大の貿易相手国であるとともに経済的な動向も連動しているところがあります。

 一方で、エネルギーの多くをロシアからの輸入に頼っているなどロシアとの関係も小さくありません。そうした状況を背景に、CISには1991年に加盟していますがEU統合を目指す動きもあります。

CIS(独立国家共同体)

旧ソ連の構成国で形成された国家連合。ソ連崩壊と同時に結成された。2022年2月時点での加盟国は、アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシア。準加盟国はトルクメニスタン。加盟国の中心であるロシアはCISの結束を強化したい意向だが、各国の利害が一致せず、形骸化の傾向にある。

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モルドバ共和国

面積:3.4万㎢ 首都:キシナウ
人口:332.4万 通貨:モルドバ=レイ
言語:ルーマニア語(公用語)、ロシア語、ウクライナ語
宗教:ギリシャ正教90.1%
隣接:ウクライナ、ルーマニア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)